制作費の勘定科目は、
見積書の分け方で判断しやすくなる。
ホームページの制作費を「広告宣伝費」としてその年の経費にするか、「資産」として何年かに分けるかは、払った金額ではなく、何を作ってもらったかで分かれることがあります(どちらに当たるかを決めるのは、税理士と、あなたの申告です)。
- 会社の案内・サービスの紹介など、内容を入れ替えていく宣伝のページは、広告宣伝費として扱われることがあります
- 予約・見積もりの自動計算・会員・ネット販売など、プログラムとして動く機能は、ソフトウェア(無形固定資産)として扱われることがあります。国税庁の説明では、ソフトウェアの耐用年数は「その他のもの」で5年です
🔴 困るのは、見積書が「ホームページ制作一式 ◯◯万円」の1行になっているときです。どこが宣伝のページで、どこがプログラムなのかが紙から読めないので、税理士も判断のしようがありません。
このページで書くのは「判断するための紙をそろえる」ところまでです。制作会社に内訳を6つに分けて出してもらう依頼文を、そのまま使える形で置きました。⚠️ 当社は税理士ではありません。どの科目にするかを、こちらで決めることはできません。
手元の見積書で、「一式」の行を数える
まず、いま手元にある見積書か請求書を1枚出してください。見るのは金額ではなく行の数と、行の名前です。
ホームページの費用には、性格の違うものが少なくとも6種類混ざります。下の表の6つが、見積書の上で別々の行になっているかを数えてください。
| 見積書の行 | 中身の例 | 税理士が判断に使う情報 |
|---|---|---|
| ① ページの制作 | デザイン、文章と写真の配置、スマートフォンでの表示 | 何ページか/会社の案内・宣伝のページか |
| ② 原稿・撮影 | 文章を書いてもらう、取材、写真の撮影 | どのページの原稿か/制作と別に頼んだか |
| ③ 動く機能 | 予約、見積もりの自動計算、会員ページ、ネット販売、サイト内の検索 | どの機能か、1行ずつ/何年使うつもりか |
| ④ ドメイン・サーバー | アドレスの取得と更新、サーバーの契約 | 何年分の料金か/誰の名義か |
| ⑤ 保守(月額) | システムの更新、バックアップ、障害時の対応 | 月額に何の作業が入っているか |
| ⑥ 公開後の作業(月額) | 記事の追加、アクセスの報告、改善の提案 | 毎月何をするか/いつまで続くか |
※ 右の列は「科目」ではなく、科目を決める人が必要とする情報です。どの科目になるかは、会社の規模・申告の方法・ほかの資産とのかね合いで変わるため、ここには書いていません。
6つとも別の行になっていれば、紙はそろっています。そのまま税理士に渡せます。
🔴 「ホームページ制作一式」の1行しかない、あるいは①〜③が1行にまとまっている場合は、Step 03の文面で内訳を出し直してもらうのが早道です。制作会社の手元には、見積もりを出したときの内訳があることが多いはずです(見積もりの金額は、作業を積み上げて出すことが多いためです)。作り直してもらうのではなく、手元の内訳を紙に出してもらうだけです。
「一式」で困る3つの場面
見積書が1行でも、困らない場合はあります。困るのは、次の3つのどれかに当たるときです。
1. 動く機能が、デザインと一緒になっている
予約の受付や見積もりの自動計算が入っているのに、見積書では「デザイン・制作一式」の中に入っている場合です。機能の部分だけ別の扱いになる可能性があるのに、いくらがその部分なのかが分かりません。
国税庁のタックスアンサー(No.5461・法人税)では、ソフトウェアの耐用年数は「複写して販売するための原本または研究開発用のもの」が3年、「その他のもの」が5年とされています(令和7年4月1日現在法令等)。どの部分がソフトウェアに当たるかを決めるのは、この表ではなく税理士ですが、判断するには機能ごとの金額が要ります。
2. 1枚の見積書に「作る」と「毎月の費用」が混ざっている
「初期費用 ◯◯万円(1年分の保守を含む)」のような書き方です。作る費用と、1年かけて受ける保守の費用は、性格が違います。とくに決算の月をまたぐ場合、1年分の保守のうち、翌年に入る分をどう扱うかが問題になります。
▶ 見分け方=見積書に「◯か月分」「◯年分」という言葉があるかを探してください。あれば、その行だけ金額を分けてもらいます。
3. 金額が、少額の特例の境目のあたりにある
資産として扱う場合、青色申告をしている中小企業者等には、少額の資産を一度に経費にできる特例があります。国税庁のタックスアンサー(No.2100・所得税、令和8年4月1日現在法令等)では、個人の青色申告者について次のように書かれています。
- 令和8年4月1日から令和11年3月31日までに取得したもの=10万円以上40万円未満
- 令和8年3月31日までに取得したもの=10万円以上30万円未満
- どちらも、その年の合計が300万円に達するまで
法人の特例(No.5408)は、国税庁のページが確認した時点(2026年9月21日)で「令和7年4月1日現在法令等」の内容で、30万円未満・令和8年3月31日までと書かれたままでした。令和8年度の税制改正の大綱(財務省)では、40万円未満への引き上げと3年の延長が示されています。自分の決算にどちらが当たるかは、税理士に確かめてください。
⚠️ ここで大事なのは「いつ取得したか」です。着手金を3月に払い、公開が4月だった——という場合、どの日を基準にするかで当てはまる金額が変わりえます。見積書・請求書とは別に、公開した日(使い始めた日)が分かる書類を用意しておくと、判断が早くなります。また、税抜の金額で見るか税込の金額で見るかは、経理のやり方で変わります。
制作会社に送る文面(内訳を6つに分けてもらう)
そのままメールやLINEに貼って使えるように書きました。角の立たない言い方にしてあります——「経理のため」と書いておくと、話が通りやすくなります。
いつもお世話になっております。
経理の処理のため、お見積もり(ご請求)の内訳を、次の分け方で出していただけますでしょうか。
- ページの制作(デザイン・配置)
- 原稿の作成・撮影(ある場合)
- 予約・計算・会員・販売などの機能(ある場合は、機能ごとに1行ずつ)
- ドメイン・サーバー(何年分の料金かを添えて)
- 保守(月額に含まれる作業の内容を添えて)
- 公開後の作業(ある場合、毎月の内容と期間を添えて)
あわせて、公開日(使い始めた日)が分かるものをいただけると助かります。
合計金額を変えていただく必要はありません。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
🔵 最後の1行「合計金額を変えていただく必要はありません」が大事です。値引きの交渉だと受け取られないためです。
⚠️ 契約の前なら、見積もりを頼む時点でこの分け方を伝えておくのがいちばん手間が少ない方法です。あとから出し直してもらうより、最初からこの形で作ってもらえます。
ここから先は税理士に聞く
自分でできる
紙をそろえる
- 見積書の「一式」の行を数える
- Step 03の文面で内訳を出してもらう
- 「◯か月分」「◯年分」の行を探す
- 公開した日が分かる書類を取っておく
税理士に聞く
ここはWeb制作会社の仕事ではありません
- どの科目にするか(広告宣伝費か、資産か)
- 資産にする場合の年数と、少額の特例が使えるか
- 保守や年払いの分を、どの年に入れるか
- 作り直したとき、前のサイトの残りをどう扱うか
🔴 右側は、当社を含めて、ホームページの制作会社が答えられることではありません。制作会社が「これは全部広告宣伝費で大丈夫です」と言っても、それは税務の判断ではありません。判断するのは、あなたの申告を見ている税理士です。顧問の税理士がいない場合は、商工会議所・商工会の経営相談や、税務署の電話相談で聞くことができます。
IZANAの料金は、こう分けて載せています
当社の料金ページは、はじめから「土台をつくる(制作・1回だけ)」「保つ・育てる(毎月・お勧めしています)」「サーバーとドメインの実費」に分けて載せています。Step 01の表でいえば、①が「土台をつくる」、⑤⑥が「保つ・育てる」、④が「実費」に当たります。
| 分け方 | 中身 | 費用(税抜) |
|---|---|---|
| 土台をつくる(1回だけ) | 1枚のページ(LP)。買い切り。着手金50%・残金50%の2回払い | 30万円〜 |
| 土台をつくる(1回だけ) | 最大5ページ構成 | 50万円〜 |
| 土台をつくる(1回だけ) | 最大10ページ構成 | 80万円〜 |
| 保つ(毎月・お勧めしています) | ライト保守/スタンダード保守 | ¥10,000/¥25,000(月) |
| 育てる(毎月・お勧めしています) | 公開後に、検索で見つけてもらう力を育てる作業 | ¥50,000(月) |
※ このほかに、サーバーとドメインの実費(約13,200円〜/年・税込)だけ別途お預かりします。保守と「育てる」は、お勧めしていますが、強要はしません。最新の条件は料金ページと利用規約をご覧ください。
⚠️ 当社の料金がどの科目になるかも、当社ではお答えできません。分け方は上のとおりなので、そのまま税理士にお見せください。
よくある質問
ホームページの制作費は、何の勘定科目になりますか?
何を作ってもらったかで分かれます。会社の案内や宣伝のページは広告宣伝費として、予約や会員などプログラムとして動く機能はソフトウェア(無形固定資産)として扱われることがありますが、決めるのはあなたの申告を見ている税理士です。判断には、見積書の内訳(どこがページで、どこが機能か)が要ります。
ソフトウェアとして扱う場合、何年で減価償却しますか?
国税庁のタックスアンサー(No.5461・法人税、令和7年4月1日現在法令等)では、ソフトウェアの耐用年数は「複写して販売するための原本または研究開発用のもの」が3年、「その他のもの」が5年とされています。どの部分がソフトウェアに当たるかは、税理士に確かめてください。
40万円未満なら、一度に経費にできますか?
資産として扱う場合で、青色申告をしている中小企業者等なら、少額の特例が使えることがあります。国税庁のタックスアンサー(No.2100・所得税、令和8年4月1日現在法令等)では、令和8年4月1日から令和11年3月31日までに取得した10万円以上40万円未満(令和8年3月31日までに取得した場合は30万円未満)のものについて、その年の合計300万円までとされています。法人の扱いや、自分が対象になるかは税理士に確かめてください。
ドメインやサーバーの費用も、制作費と一緒でいいですか?
ドメインとサーバーは、作る費用ではなく、年ごとにかかる費用です。制作費とは分けて、何年分の料金かを請求書に書いてもらってください。複数年分をまとめて払った場合の扱いは、税理士に確かめてください。
ホームページをリニューアルした費用も、同じ考え方ですか?
作り直した中身で分かれるので、見積書の分け方が同じように効きます。宣伝のページの作り直しは、上の「何を作ってもらったか」と同じ見方です。プログラムとして動く機能を直した場合について、国税庁の法人税基本通達7-8-6の2は、プログラムの「機能上の障害の除去、現状の効用の維持等」に当たるときは修繕費、「新たな機能の追加、機能の向上等」に当たるときは資本的支出と書いています(法人の場合・2026年9月25日に確認)。どれに当たるかと、前のサイトの残りの扱いは、税理士に確かめてください。見積書では「今の働きを保つための直し」と「新しく足す機能」の行を分けてもらうと、その判断の材料になります。
内訳を分けた形で、
見積もりを出してほしいとき。
当社の料金は、はじめから「土台をつくる」「保つ・育てる」「実費」に分けて公開しています。お見積もりのご相談は、お問い合わせから承ります。科目の判断はいたしませんので、そこは税理士にご確認ください。